奈良でアイガモロボで栽培したお米で酒造り 4月発売目指す

 

アイガモロボを活用した酒造りが奈良県で始まりました。
取り組んでいるのは、奈良県の南都銀行グループ会社の「奈良みらいデザイン」です。

奈良みらいデザインとは

奈良みらいデザインは、2021年の設立以降、奈良の名産品を販売するECサイトの設立運営や吉野杉でも知られる奈良県南部にある吉野地区での古民家再生に取組んでおり、2021年11月からは、アグリ事業を立ち上げ、米と野菜の生産をスタートさせています。

アイガモロボを活用したお米づくり

このうち米作りでは、奈良ヰセキ農機などとも連携しながら、当社がアイガモロボ2台を提供し、約1ヘクタールで、有機的な栽培に挑戦しました。

栽培したのは、酒米「吟のさと」と食用米「ひのひかり。酒米「吟のさと」は山田錦に比べて、丈が低いため、倒伏に強い特徴があります。奈良県吉野町では、遊休農地で「吟のさと」を栽培して3つある酒蔵でお酒をつくるプロジェクトも行われていています。

10月には、関係者や地域の方々も参加して稲刈りイベントを行い、全体で約6トン(うち酒米3.45トン)のお米を収穫しました。収穫の際には、事前に収穫したお米と大和野菜をお弁当にして振る舞ったとのこと。想像しただけで、微笑ましいですね。

当初は、酒米を県内の酒蔵に納品するだけの予定だったということですが、想定よりも収量、品質とも良いお米ができたことから酒造りへのチャレンジを決断。創業110年の老舗の酒蔵「美吉野醸造」の協力のもとオリジナルの日本酒造りを行うことになったそうです。

収穫してから酒造りを始めようという奈良みらいデザインのフットワークの軽さにも驚かされますが、それに応えてくれる老舗酒蔵というのも素敵ですね。

さて、どういうお酒をつくろうか。

酒好きの社員や酒蔵の杜氏、酒卸の社長さん、デザイナーほか、関係者で構成されるチームでじっくりと議論をしたそうです。その結果、「せっかくなら面白いお酒にしたい」ということで、奈良の名産品である大和牛に合う純米大吟醸を仕込むことが決まりました。

肉に合うお酒で連想されるのがワイン。
日本酒をお肉に合うようにする際にポイントになるのが酸味なんだそうです。

美吉野醸造での酒造りは住み着いた酵母菌が特徴で、高温多湿な吉野の気候が麹にも変化をもたらします。強い麹により酸が強くでるのが特徴とのこと。
熟成の期間を通常よりも長めにとることで、旨味を引き出し、後味にほのかな酸味が感じられる仕上がりになるのではないかとチームでは期待しています。

先月20日、日本酒のもとになる「酒母」をつくるための三段仕込みが始まり、蒸した酒米に、麹と水を加えていきました。

25日間かけて酒母をつくったあと、製麹や仕込などの作業を行い、4月には、四合瓶3000本の日本酒が限定販売される計画です。どんなお酒になるのか、今から楽しみですね。


有機米産地化のモデルに

今年の取り組みがうまくいったことで、奈良みらいデザインでは、地域の農家にも有機米づくりを呼びかけ、更に5軒の農家が合計4ヘクタールの田んぼでアイガモロボを活用して「ひとめぼれ」や「吟のさと」の有機栽培に挑戦することになりました。

奈良みらいデザインは、必要となる12台のアイガモロボを購入して提供するほか、米の乾燥調整なども担います。できたお米は全量当社が購入して販売する計画です。

有機米の産地形成のモデルになるような先進的な取り組みが奈良県宇陀市笠間地区で始まります。

お酒とともに、ぜひご注目ください。

取材協力、写真提供:奈良みらいデザイン 田中さん

 
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