東京農工大発ベンチャーの設立  有機米栽培の生産性向上に向けた共同研究を開始

東京農工大発ベンチャーの設立
有機米栽培の生産性向上に向けた共同研究を開始

 山形県庄内地方で事業を通じた地域課題の解決を目指す街づくり会社、ヤマガタデザイン株式会社(本社:山形県鶴岡市北京田字下鳥ノ巣23-1 代表取締役 山中 大介)は、令和元年11月に、国立大学法人東京農工大学が開発した食用米を利用し、多収かつ食味の良い、有機米の生産販売に向けて「有機米デザイン株式会社(大学発ベンチャー:東京都小金井市中町2丁目24番16号 先端産学連携研究推進センター116号室 代表取締役 山中 大介)」を設立しました。このほど、有機米の栽培に関する知見の収集と諸課題の解決に向けた共同研究を本格的に開始いたしました。

 今後とも弊社では、連携機関との協働を積極的に進めるほか、除草作業を省力化するロボット開発など、有機米のマーケット拡大有機農業に取り組む農業者の所得向上を目指した活動を推進して参ります。

 

有機農業を巡る状況

 世界の有機食品売上は年々増加しており、日本でも消費者の関心が高まっています。また、新規就農希望者への調査でも有機農業に興味や実施してみたいとの要望はますます高まっている状況にあります。しかしながら、有機農業を安定的に営農していくには、栽培に関するノウハウや経験に不安を持つ農家も多く、国内の耕地面積のうち有機栽培面積は数%程度と、まだまだ取り組みは限定的な状況です。さらに、水稲では、10アール当たりの粗収益は有機栽培が慣行栽培に比べ2倍近くになるものの、労働時間は、およそ1.5倍となるなど、生産性に及ぼす時間的制約が大きな課題として挙げられています。中でも除草にかかる労働時間は5倍近くになるとの報告もあり、ロボット化への期待が高まっています。


出典:令和元年8月農林水産省生産局農業環境対策課「有機農業をめぐる事情」p13

出典:令和元年8月農林水産省生産局農業環境対策課「有機農業をめぐる事情」p13

目的
 
弊社は、前述の有機米の栽培における課題を解決し、農業者の所得向上有機米マーケットの拡大に取り組みます。今回の共同研究では、同大学が開発した食用米を利用し、多収かつ食味の良い、有機米の栽培技術確立に向けて取り組んで参ります。また同時に、有機米の栽培における除草の省力化という課題に対して、弊社が検討を重ねてきたロボット技術での解決を目指します。

共同研究の内容
 
今月より本格的に始まる共同研究では、東京農工大学農学部の大川泰一郎教授(※1)の指導の下、有機米の栽培に優位性を持つ品種やその特性、その特性を活かすための栽培技術、並びに有機米の栽培条件実現のための技術手段に関する研究に取り組む計画です。東京農工大学農学部の有する有機栽培に関する多くの知見やノウハウと共に、この共同研究で得られた成果は、庄内で弊社が行う有機米の栽培に活かしていくほか、今年4月に開校する鶴岡市立農業経営者育成学校(SEADS)の研修生にも還元していきます。

「持続可能な農業の仕組み」の構築に向けて
 
弊社では、有機農業をベースとした農業生産人材育成、そして研究開発の3つの柱で課題の解決に取り組んでいます。農業生産では、海外からの輸入に頼っている化学肥料、化学合成農薬に依存しない、有機資源循環農法を実践することで、持続可能な農業に取り組んでいます。昨年から引き続き栽培するベビーリーフやミニトマトは、栽培面積を更に拡大します。また、新たに今年から約9ヘクタールの面積で、有機米の栽培を開始します。

 人材育成では、今年4月に開校する「鶴岡市立農業経営者育成学校(SEADS)」の運営を担う予定で、全国から集まる研修生を育成し、農業者が著しく減少する現状に対して、将来の担い手を確保します。

 研究開発では、多くの協働機関とのオープンイノベーションな開発体制の構築を積極的に進めるほか、水稲有機栽培における除草工数削減のためのロボット開発や各種設備の開発などにチャレンジし、生産性の向上を目指します。

 これらに加え、地域全体で利用できる有機農業のブランド「SHONAI ROOTS(ショウナイルーツ)」を立ち上げ、販路を確保することによって農業経営の安定化に寄与し、持続可能な農業の実現に取り組んでいきます。

【参考リンク】
東京農工大学農学部生物生産学科 大川泰一郎教授
http://kenkyu-web.tuat.ac.jp/Profiles/2/0000197/profile.html

鶴岡市農業経営者育成学校(SEADS)
https://tsuruoka-seads.com/

SHONAI ROOTS
https://shonai-roots.com/

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